2014年1月18日土曜日

宇宙戦艦ヤマト2199考Ⅷ





6.     愛の戦士たち ~愛・情と理・魂を繋ぐもの~ (2/2)

 

 「生き抜こうとする意思、彼らにはそれがある。 あなたのことは伝えなければならない。 彼女も来ていた。でもそうしたらあなたとはもう・・・。・・この星は悲し過ぎる。」

スターシャ・イスカンダルの独白ですが、守が死んだ今でも、守と意思疎通ができていることが分かります。

高度の科学は魔法のようなものと真田副長がいっていました。守が記憶だけだったらスターシャとお話したり、「これくらいしかおまえにしてやれない。沖田さんに艦をかえします」という独り言はできません。

ではなにが居るのか。その守本人のパーソナリティーのコアの部分が次元波動として「命のエレメント」が残っており、そのまま電子知能に組み込まれ魂として機能しているという理解しかできません。これこそ魔法です。

ユリーシャが「お姉様、コスモクリーナーを与えてください」って意見具申したとき「いま検討中です」と事務的に返してしまいます。

「情と理」という言葉があります。両方のバランスがとれていないと物事はうまくいかないということなのですが、ここでスターシャは理屈の部分で十分理解しているのですが、守への想いや寂しさといった女の情の部分で譲れぬ「こだわり」がわだかまって心の懊悩が垣間見えます。


 そんな聡明なスターシャの「情念」が、どう育まれたのか。

捕虜として護送船に載せられイスカンダルへ不時着・負傷した古代守に対し、ガミラスに知られないよう、密かにスターシャが献身的な看護を続けていくうちに守は小康を得ます。

喜ぶスターシャ。逢う機会が等比級数的に増えていきます。一方、守も戦闘で負けて地球を守れなかった思いや新見と別れた心のすき間、捕虜として搬送中に負傷したことなどから心身両面に傷を負っていました。守は異星人とも分かり合えることを教えられたと最後のビデオレターで述べていましたが、スターシャ・イスカンダルの無償の愛情や思想にいつしか惹かれたのではないかと思います。

スターシャも心に傷を持ちながらも気高い守の開放的な明るさにインスパイアされ愛し合うようになったと思います。

   デスラーには知られてはいけない絶対秘密の雰囲気のなかでさらに深く濃密にお互いを尊敬し・全てを分かち合う間柄になってしまった。
 

「彼女も来ていた。」と守との思念による会話の中でスターシャが独白していました。つまり、二人の中では「昔の女」の話は伝わっていたということと、守が新見を振ったのではなく新見の意固地さが二人の関係を微妙にしていたところに、守自身も戦闘のため死地に向かうことから別れたのだと思います。

スターシャ猊下とのヤマトクルーとの最初の謁見の際、チラリとスターシャが新見を見た目にスターシャのどんな想いが秘められているのか心底知りたいと思いました。

こういった目先のやりとりから心理状態を想像することも2199を観る楽しみのひとつでもあります。

   スターシャは、あまねく知生体のことを考えて地球へ次元波動エンジンの技術供与をしてくれ、デスラーとはチェスもどきをしながらも、守とは秘密の愛を育み、C.R.S.を受領したヤマトとお別れのときには、お腹押さえて「さようなら 守!」ですから女はある意味怖いというか強すぎです。
 

古代進は雪との最後の別れに、雪を生命維持装置から引っ張り出し抱きしめます。

心肺停止・脳死状態のユキに恋愛するまでの経緯をキチンと語って聞かせます。しかしいくら語っても雪が甦るハズもなく感情に抗しきれず、

   「君のいない地球になんか意味があるのか。意味が!」と絶叫します。

「これくらいしかおまえ(進)にしてやれない。沖田さんに艦をかえします」

   守は沖田の死が近いことを知っていてC.R.S.を限定的(雪)に非常に純度をあげて稼働しました。

それがもし、沖田艦長へも照射されていれば、「何もかもが懐かしい」というセリフを聴くことはなかったからですが、沖田を復活させると「命のエレメント」となるものがなくなり地球を救うことができなくなってしまいます。

   守が雪に行ったのは脳死状態の雪にまだ残っていた波動エレメントの代謝速度を加速して治療を行ったのではないかと妄想しています。

碧水晶の花がユキの復活とともに仄暗い碧から黄金色に変化したのが印象に残ります。

   しかし、C.R.S.の目的は死んだものを生き返らすことではないような気がします。

そうであればイスカンダルの住人が王女さまと姫さまだけというのは納得いきません。守だって生きていたろうし、死んで灰や骨になったものを生き返らせるのではない。と思います。

それではハリポタのヴォルデモートになってしまいます。

考えられるのは、ユリーシャが言った「生命を宿した惑星にはその星の物質と生命の進化の記憶が時空を超えた波動として存在している」という次元波動理論を理解するしかありません。

C.R.S.とは、余剰次元波動としてコンパクト化され存在している星の物質と生命の進化が刻まれている「次元波動体」から地球へ命の芽を解き放ち、素粒子状態の星の記憶を生まれた時からやり直しできる「星の進化」を加速させる装置のように思います。

ユリーシャが、「生命を宿した惑星にはその星の物質と生命の進化の記憶が時空を超えた波動として 存在している。その記憶を解き放つのは、星の思いを宿した物質、星のエレメント。C.R.S.のエレメント(ヤマト)がココに来ないと完成しない。」と言っています。

結局、次元波動エンジンも次元波動砲もC.R.S.も神の数式によって構成され希求する性能に対し、莫大な効果を得られるよう設計された技術。

   星の物質と生命の進化の記憶が時空を超えた波動として存在しているのでC.R.S.により、記憶を解き放つのに必要となる引き金が意識体(魂)を有した「命のエレメント」なのかもしれません。

   スターシャが「わたしたちのような愚行を繰り返さないようにと。」言っていましたが、イスカンダルへの畏敬の念は、最初次元波動砲による恐怖支配からきて、その後、改心したイスカンダルが昇華された思想を獲得、さらに敬愛の対象となったと思います。

   以前、ヤマトという物語は「魂をつないでいく物語」ということを出渕監督が七章の試写会の際言っていたと記憶しています。 

最初に古代守がヤマトのコスモリバースシステムの「命のエレメント」になり、雪を救うため(ほんとは進の魂を守るため)自分の魂のエレメントが消滅することを承知で稼働しました。そこへ死んだ沖田の魂が次の「命のエレメント」となった。沖田のエレメントも星のリバースのため消失するかもしれませんが、これもかならず稼働するでしょう。こうしてヤマトで死んだ者たちは魂をつないでいくのだと思います。

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