2014年1月18日土曜日

宇宙戦艦ヤマト2199考Ⅱ



2.     遙かなる旅立ち ~危機への対処~


 219911日に起こった冥王星沖海戦「メ号作戦」。地球最後の艦隊による最終決戦ですが、その真の目的は太陽系に進入するイスカンダル星人(アマテラス)を支援する「目的を隠避」された陽動作戦でした。 

 
 旗艦キリシマを除き全艦が大破・撃沈、多大の艦艇と人名の損失を受けましたが、陽動には成功し、ヤマトのメインエンジンである次元波動エンジンを動かす鍵となる波動コアを獲得。地球生命体の生き残りを懸けた綱渡りの作戦がこの後も続きます。


 メ号作戦の後、空母偵察により宇宙戦艦ヤマトの偽装を知ったガミラス冥王星前線基地司令官シュルツは、ロングレンジ攻撃を命じ、冥王星基地から惑星間弾道ミサイルを発射します。ヤマトは、ショックカノン主砲斉射と波動防壁を展開させることによりその攻撃をしりぞけ人類初の恒星間飛行へ旅立ちます。


 ヤマトが発進するとき、ガミラスの科学力と放射能汚染に人々が絶望し人々の「心の闇」が広がる時代に飛び立つ艦となっています。人々が虚無に陥り、危機にあるとき「強い意志」と「叡智」を武器に戦う。


 そこに輝きを見いだすのは私だけでしょうか。


 危機は、我々の周りにもあります。



 外的要因では、地球温暖化によって海水面が3mm/年以上 上昇していることを観測、一説には今世紀中にメートル単位の海面上昇の可能性も指摘されこの影響から逃れられる国は皆無かもしれません。他にも飢餓・貧困・戦争・地震・放射能など危機のネタには事欠きません。



 
 私が2199ヤマトで醍醐味を感じ昂揚してやまないところ、それは絶望するほど逆境のなか沖田十三以下乗組員たちが強い意志をもって困難と立ち向かい、あらゆる人間力を駆使しミッションインポッシブルな任務に身を投じ戦うところです。


 宇宙戦艦ヤマトのSF設定は、究極の公害である放射能汚染に苦しみ、地球滅亡がせまる状況を打破すべく敵を撃破しつつ宇宙の難所に挑みながらイスカンダル星へ行って放射能除去装置を入手し地球へ生還するSF宇宙冒険譚という設定です。


 原爆攻撃を受けた日本人だからわかったことかも知れませんが、初期宇宙戦艦ヤマト放映時である40年前に究極の公害が放射能汚染と看破した先見性や後に発生した原発事故に恐ろしさを感じます。


 広島・長崎では今も放射能の後遺症に苦しめられ、福島では汚染水が漏れ続け、さらにチェルノブイリでは悪夢を石棺に閉じこめました。

 
 全世界には、原子力発電所が500基(2011統計データ)以上存在しています。


 艦首次元波動砲により敵前線基地を浮遊大陸ごと消し去った後で沖田艦長も独白した、結局人類には手の及ばない「メギドの火」ということでしょうか。


 聖書ではメギドの火によりソドムとゴモラは滅びてしまいます。

いつの時代も「滅び」や「心の闇」のきざしはすぐそばにあります。我々はどんな選択を行いどう立ち向かうのでしょうか。究極の公害が一刻も早く収束するようまたこれ以上発生しないよう心より願うものです。


 ヤマトを見て思うのは、「危機」を叫ぶ時期は過ぎさり、「危機」に思いをいたし宇宙船地球号のひとり一人がそれぞれのヤマトを発進させて対処する時期がもう来ていると思います。


 製作者が意図するしないにかかわらず、ヤマト2199からはSF的な視点による複眼思考を体験できます。


 惑星間弾道ミサイル撃破後、地球を進発したヤマトは、地球の艦船として初めて光速を突破することに成功します。苦戦のすえガミラス冥王星基地を壊滅させて太陽系を離脱し、ガミラスとの戦闘や大宇宙の難所を乗り越えながら、人類最後の希望を乗せ、1年という限りある時間の中、遙か168千光年彼方の大マゼラン銀河のイスカンダルへ、往復336千光年の旅へ命がけのチャレンジをしていくことになります。

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