2014年1月18日土曜日

宇宙戦艦ヤマト2199考Ⅶ


 

6.     愛の戦士たち ~愛・情と理・魂を繋ぐもの~(1/2)

メ号作戦の後、偽装していたヤマトにガミラスの空母からレーザービームが打ち込まれ、当初ヤマトへ搭乗するはずだった乗組員たちが死亡します。これは意外に大きな出来事だったのではないかと推察します。

もちろん古代進や島大介などの人事上の抜擢につながるだけでなく、後に艦内で発生するイズモ派による反乱がありましたが、死亡した乗組員たちのなかにはイズモ派がより多くいることも考えられ、反乱が成功し沖田艦長や真田は排除されていたかもしれません。また、沖田艦長というリーダーだけが突出した組織構成となったため沖田の指示する統率に支障が生じなくなったことなどミッションの成否にも影響した可能性があります。

その沖田艦長のもとで抜擢された若い力はいろんな経験を積み「魂」が成長する物語になっています。

  古代進と森雪の出会いは、死に行く雪に進が語りかけたように確かに最悪でした。

そんなふたりですが、「氷原の墓標」では、じっくりと古代進の内面を兄の墓標を絡めつつ描きだすとともに、さらわれた雪を進が取り戻した事件をキッカケに森雪の気持ちの転換点となります。魔女はささやくの土壇場に至ってようやく進は「森くん」ではなく、「雪」と呼び捨てで呼ぶようになります。

「愛詞」の歌詞に「わかるひとにしかわからない愛詞(あいことば)」とあります。ありふれた男女が特別なひとになる。逢いたくて、切なくて、傷ついたあなたの命へ触れたくなったり伝えたくなったり、そういう恋愛模様がドラマの起伏となって楽しませてくれます。

ユリーシャ・イスカンダルは、地球でテロに遭い航法装置の中に生命維持装置とともに押しこめられました。亜空間ゲート内にてデスラーの襲撃を受けた際、今度はそのとき同じテロにあった雪が意識不明の重体となりカプセルで生命を維持します。

雪をこのカプセルに入れ命永らえようとはかりますが、およばず心肺停止と脳死状態に陥ります。そのあとC.R.S.の照射を浴び生命の再生がなされた。

「象徴的」と感じてしまったのが、白雪姫が毒リンゴを食べてしまい、棺のなかに入って生命を維持した状態となり、お姫さまは愛する王子さまのキスでよみがえる。

森雪は、古代進の熱い抱擁とキスでよみがえります。オールドファッションですが、そういう寓話をもとにこの舞台設定なされたのではないかと夢想します。

   デスラー襲撃のシーンはテーマ曲と相まって戦慄すら覚えました。

   デウスーラⅡ世は第二バレラス崩壊時、タラン長官の機転でゲシュタムジャンプして助かっているのですが、今回もタランの活躍により襲撃ポイントの設定や接近の仕方、攻撃手法などを考えたと思われます。

   タランみたいに優秀なテクノクラートを有しておきながらそれを生かせず、スターシャに執着するメンタリティーのデスラーを見ていて切なくなります。

さらに自分の帝国が潰えた理由をヤマトだけに転嫁し、ヤマトを欲しがる狂気に虚無を心に宿してしまった男の無惨さを感じます。

戦略的に何の意味もないデウスーラⅡ世による襲撃によって、「戦うことなんてなかった」悲しい出来事が起きます。一つは雪やほかのヤマト乗組員たちの多数に死者・負傷者がでたこと、もう一つはデスラーが生存していることを知り狂喜したセレステラがジレル特有の精神感応波を無意識にデスラーに照射してしまい反射的に反応したデスラーが銃を撃ってしまったことです。

狂喜してデスラーのそばへ近寄っただけなのにデスラーに銃撃され、総統府にて裏切られた想いがぶり返したセレステラとしては一緒に死にたいとデスラーへの発砲となりますが、助けてくれた過去の想いもありそれも果たせず自殺を図ります。が、それすら果たせずお付きの者に蔑まれて殺されたそのセレステラの無惨な死に様は、さすがのデスラーに冷水を浴びせたと感じます。

   それが古代と雪への発砲を止めさせ撤退した理由かもしれません。

   このあたりデスラーの狂気はセレステラによって減じられたような気がします。

デスラーにとってセレステラに少しでも魅かれる部分があればどちらも救われますが、それは叶わずセレステラの登場シーンにいつも流れる寂しげなメロディーがいつまでも頭に残ります。
 

   さすがとしか言いようがないですが、真田たちがガミロイドをきっちり調査していただけでなく、コンピュータウイルスまで作っていたとは!結構ビックリします。

新見とアナライザーの喜ぶシーンが非常に愛らしくて良かったです。

 ウィルスのヒントは、ハリウッド映画のインディペンデンスディあたりの影響を受けているかもしれません。ヤマトのシナリオが進化している証左だと思います。

さらに実弾攻撃のシーンを見たときには、大航海時代のパイレーツオブカリビアンを彷彿とさせ興奮して手に汗を握りました。

   科学が進みすぎていると今回のような特殊な状況下では実弾攻撃が有効だったということですが、沖田艦長が好きな人間力が発揮された結果なのかもしれません。

   しかしドメルの旗艦ドメラーズは、艦橋の一部が離脱する仕組みになっていました。ここでもそういう仕掛けになっていても不思議ではありません。

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